梶谷彪雅監修剣道情報サイト

剣道で下段の構えは使えるのか【特徴とやり方を徹底解説】

剣道理論

剣道好き「剣道で下段ってありなの?」
「下段の構えって使える?」

という方向けに、剣道の下段の構えについて細かく解説していきます。

この記事を書いている私は

  • 剣道歴15年以上
  • 現在は子供たちに指導など

という経歴なので、分かりやすく説明します。

剣道で下段の構えは使えるのか

結論として

剣道で下段は使えるけど、使う人はほぼいません!

剣道の構えについては規定は少なく、自由ですが、実践では使いにくいのが現状です。

理由としては以下の2つがあげられます。

  • 基本的に不利
  • 打突が決まりにくい

順番に細かく説明していきます。

剣道の下段は基本的に不利である

下段について考える上で、ポイントになってくるのが「剣道の歴史」です。

剣道のルーツである剣術の中では、下段は「防御力が高く有効な構え」として位置づけられていました。

その要因としては、簡単にまとめると

  • 足への攻撃が可能
  • 多方向に攻撃可能

という2つがあげられます。

足への攻撃が可能

竹刀(刀)を振る上で、非常に重要なのが「足」です。

剣道でも「足から打て」なんて言いますよね。

下段は、構の位置が低いので、足を狙いやすいというのが大きな強みになります。

実際に刀での切り合いを想定したら、足を一瞬で攻撃される事による圧力は大きいです。

多方向に攻撃可能

通常、竹刀や刀は上から下に振り下ろします。

つまり、一回刀を振った後は、再度上に振り上げないといけません。

一方で下段の構えの、元の位置や・振り切った位置に注目すると、振り上げがほとんど必要ありません。

さらに、下段での下半身への攻撃は、面打ちなどと違い、同時攻撃も可能です!

現代の剣道について

では、ここで現代の剣道について考えてみましょう。

お気づきの方もいるかと思いますが、剣道では下段の利点が全くありません。

具体的には以下のようなことが言えます。

  • 足への攻撃はできない
  • 振り下ろしへの意識が大きい
  • 一対一での戦い

このような条件によって、有利な点を失った下段には欠点のみが残ります。

ここで残る欠点というのは

  • 上半身への防御力の低さ
  • 高い位置への打突スピード
  • 攻め手が欠ける事

などがあげられます。

上段と比べるとより分かりやすいのかなと思います。

その結果、剣道の下段の構えはメリットが少なく、使い道があまりないというのが現実になります。

剣道の下段の構えの使い方

実際に使う人は少ないですが、ルール上使えるので、使い方についても解説していきます。

具体的には以下の3点について解説していきます。

  • 下段の構え方
  • 下段での戦い方
  • 下段で狙う技

剣道の下段の構え方

下段の構え方としては、基本的に脛や膝を狙った構えが多いです。

これは先ほど説明した「歴史」の名残によるものです。

ただ、この位置から気持ち高めにすることで、より実践的な構えになります。

中段の低い版位のイメージの方が良いかもです。

剣道の下段の戦い方

下段の構えは、基本的に攻め手に欠けます。

分かりやすく言えば

飛び込み面などは狙いにくいのです。

つまり、自分から攻めるのではなく、基本的に守り重視の戦い方になります。

その上で、相手の隙をとらえて、応じ技や出鼻技などを狙いましょう。

間合いについて

基本は遠間で戦う事が良いとされていますが、実際にはやや遠間~やや近間の中で調整するのが良いです。

もちろん、遠間から応じ技を狙うのも良いですが、実践でそのような技を振ってくることは少ないです。

近間はスピード負けするので注意です!

それを考慮したうえで、相手に合わせながら調整するのが良いかと思います。

攻め技で奇襲

とはいえ、下段にも攻めの技がいくつかあります。

特に主力になるのは

  • 小手
  • 胴(逆胴)

守り重視といっても、守りだけでは勝てないので、やや近間でこれらを狙いましょう。

不意打ちで面や突きも意外と入るかもしれません。

剣道の下段で狙う技

下段で狙う技としては、小手・胴がメインになります。

具体的な狙い方としては

  • 応じ技
  • 攻め技

の2種類で、より得意な方を必殺技として大事に使いましょう!

参考動画

(出典:https://www.youtube.com/watch?v=Pi-NDqIYwxo&t=130s)

使う側・対策側共に一度動画で見ておくとイメージがつくと思います!

剣道での下段との戦い方

最後に、対下段について解説していきます。

とはいえ、私自身の対下段経験が少ないので、私なりの考えになります。

対下段で意識すべきポイントは以下の2つです。

  • 安易な動きをしない
  • 間合い管理

順番に説明していきます。

剣道の対下段で安易な動きはご法度

何度も繰り返しになってしまいますが、下段の主力技は応じ技です。

つまり、こちら側の「甘い打突」を誘った上で的確にとらえてくるのです。

全ての技に応じ技が狙われていると考えましょう。

逆に言えば、相手からの攻め技は非常に少ないので、そこを見極めるのが重要です。

手元を上げない

先ほどの2つの攻め技を、フェイントなどを組み合わせながら狙ってきます。

これらの技を注意しつつも、焦らず、じっくりと戦うのがポイントです。

剣道の対下段は間合いが重要

上の話ともつながりますが、対下段では間合い管理がカギになってきます。

中段より少し近間が一番要注意です!

相手は小手や胴・応じ技を主体に戦うので、すぐに竹刀を振って当てる事ができる間合いが得意になります。

反対に、近い間合いであれば、スピード勝負で勝てる事が多いです。

間合いに関しては構え自体の高さや、相手のスキルにもよるのでその場の判断が重要です。